母の遺産

http://www.chuko.co.jp/tanko/2012/03/004347.html
女学生がそのまま大人になったような母は
活字を読むのが好きでした。
そんな母が
父が亡くなってから新聞さえ読めなくなってしまいました。
老人ホームに入ってしばらくすると
食堂に置いてある全国紙を
少しずつ読むようになり、
読売新聞の土曜版に連載されていた
この新聞小説を楽しみにするようになり、
やがて自分のために新聞を定期購読するようになりました。
最終回までのすべてを切り抜いた母は、
私に「読んで感想を聞かせて」と言いました。
タイトルを見てドキッとし
内容をざっと見て憂鬱になり
切り抜きは放置されたままに・・・。
今年に入って 出版されたのを知り
図書館に予約をかけましたが
何と200名超える順番待ち
書評を読んでいるうちに
やはり早く読まなくては・・・と
買うことにしました。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/360
母に「買って読んだよ」と告げると
意外な顔をして
「あら、たまたま住んでいた地名や
ゆかりのある土地や学校が出てくるから
読んでみて、と言っただけよ」
・・・・・う〜ん本当
今は元気で前向きな母
でも鬱になって
電気治療して
ぼんやりしていた姿が脳裏から消えることはありません。
そして老いるということは
またその方向へ進んでいるということなんだと
この を読んで思い出しました。
読み進めるのは気が重かったけれど
3.11のことも織り交ぜ
生きていることをありがたく思える
希望のある結末で読み応えがありました。
作家の言葉遣いは
それにしても秀逸です。
母の遺産〜新聞小説
水村 美苗
中央公論新社
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2012-05-21 21:39
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★読書 |
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